diabetes
糖尿病代謝内科では、糖尿病をすでに発症している患者さんだけではなく、糖尿病予備軍とされる方、糖尿病による合併症(ある病気が元になって起こる別の病気)を発症している患者さんなどを対象としています。
また、健康診断でメタボリックシンドロームと指摘された、血糖の数値が高い、といった方などもお気軽にご相談ください。
糖尿病とは、常に血糖値の高い状態を言います。血糖値とは血液中のブドウ糖濃度のことで、健康であれば、膵臓から分泌されるホルモンの一種インスリンが血液中の糖分を組織に取り込ませることで、上がった血糖値を下げるという働きをします。
しかし、これが何かしらの原因で働かなくなる(インスリンの分泌量が足りなくなる、あるいは量が充分であっても機能しなくなる)と、食事などをすることにより血液中の糖分が吸収されることで上がる血糖値は、下がることなく常に高い状態が続くようになります。そして、血液中の糖分(血糖)が増えてしまい、これが長期間続くと、肝臓で脂肪になったり、腎臓から尿糖が排泄するようになります。この状態が糖尿病です。
糖尿病を発症すると、細小血管を中心に血管がダメージを受けるようになり、動脈硬化を発症するようになります。自覚症状が乏しいことから糖尿病は放置しやすい疾患ですが、何もしないままだと、糖尿病による合併症(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害は糖尿病三大合併症)を起こすリスクが高まります。
さらに動脈硬化を促進させると大血管障害(心筋梗塞、狭心症、脳卒中など)を発症することもあります。
なお、糖尿病を発症するパターン(インスリンが出なくなる、あるいは機能しなくなる状態)は1つとは限りません。主な種類として4つのタイプ(1型糖尿病、2型糖尿病、二次性糖尿病、妊娠糖尿病)に分類されます。
1型糖尿病は、インスリンを産生する膵臓のランゲルハンス島β細胞が主に自己免疫によって破壊されることで、インスリンが分泌されなくなる状態です。2型糖尿病は、一般的に糖尿病と呼ばれるもので、全糖尿病患者の9割以上を占めます。日頃の不摂生な生活習慣(エネルギーの過剰摂取、運動不足)などが原因でインスリンの分泌不足や機能低下を招きます。
また二次性糖尿病は、遺伝子異常や特殊な病気(内分泌疾患や膵疾患、ウイルス感染など)、あるいは薬剤・化学物質の影響などが原因で発症する糖尿病です。なお妊娠糖尿病については、完全なる糖尿病ではありませんが、妊娠時は高血糖状態に陥りやすく、糖代謝異常の状態になることを言います。
治療については、日本糖尿病学会専門医でもある院長のもと、医師陣が情報を共有しあって、各々の患者さんに適切な医療を提供していきます。糖尿病の治療法はタイプによって多少異なりますが、いずれにしても合併症や大血管障害を防ぐことが目的であり、そのためには血糖を正常な値にコントロールすることが大切です。
1型糖尿病の治療の中心は、インスリン注射(インスリン療法)です。これは体外からインスリンを補い、健常者の血中インスリンの変動をできるだけ忠実に再現する治療法になります。適切な補充を行うことで血糖値のコントロールが可能となります。当院でもインスリン療法を行っております。
2型糖尿病の場合は、インスリンが多少出ている状態なので、まず食事療法と運動療法による生活習慣の改善を行います。食事療法では、適正な量のエネルギー摂取と栄養バランスの良い食事などに努めます。当院には、糖尿病療養指導士の資格を持つ栄養士が在籍していますので、それぞれの患者さんに適した栄養指導も行います。また運動療法では、有酸素運動をメインに行いますが、運動量はそれほどハードなものは必要なく、ゆったりと全身の筋肉を使う程度(散歩であれば30分ほど)で充分です。ただし、毎日行うことが大切です。これらの管理につきまして、ご希望のある方はお気軽にご相談ください。
なお食事療法や運動療法のみでは血糖のコントロールが困難な場合(血糖値が下がらない)は、これに併せて薬物療法として、血糖降下薬の服用やインスリン注射などによる治療を行います。
また、二次性糖尿病については、糖尿病の治療と併せて基礎疾患の治療も行います。妊娠糖尿病の場合は、2型糖尿病と同様の食事療法が必要なほか、場合によってはインスリン注射を行うこともあります。